TAC-TRAINEE-Voice

東方鍼灸院研修生の感想文

VOICE 96/鍼灸師(東京都・女性)

 研修は、普段の治療の現場を、朝から夕方まで間近で見せていただけて、しかも、時々は患者さんの圧痛が変わる様子を、実際の患者さんに触れさせてもらって、確認することも経験させていただき、その都度質問があれば、答えて下さり、今まで体験した学校や、勉強会での練習とは、まったく違う、即臨現場さながらの様子を肌で感じることができ、それが何より貴重な体験となりました。

 実際の治療は置くだけの鍼や、王不留行という漢方の種をはることで、しかも、治療ポイントは、痛む足と反対だったり、首の痛みが足首への置くだけ鍼で、一瞬にしてとれてしまったりするので、患者さんの驚く顔が毎日のように見られ、本当に、毎日が奇跡の連続でした。

 治療の合間に、先生をモデルに何度か指導してもらいながら、実際に治療もさせていただき、本当に、一瞬で凝りがとれたりしていくので、とても不思議で、でも、一つ一つの経脈を患者さんに聞きながら、反応点を探して、丁寧に触っていくので、術者にも患者さんにもとてもわかりやすい治療法だなと思いました。

 ベテランの患者さんは、「先生、やっぱり胃経ですかね」「腎経ですかね」とか、専門用語がすらすら出てきて、ちゃんと家でも、ご自分で温灸したり、ローラー鍼を使ったりして、セルフケアをされていて、吉川先生も、繰り返し「このラインをローラー鍼で、おうちでもコロコロしてね」とか「温めるのがいいのよ、ペットボトルにお湯を入れたものでもできるからね」などなど、患者さんに常に仰っていて、セルフケアの重要性と患者さん教育の大切さもヒシヒシと感じました。

 研修の合間に先生が「本当にものすごい奇跡を起こされた患者さんというのは、この治療ももちろんなんだけど、ご家族の方が本当に家族中で熱心にそのお子さんの事をおもい、遠くから通ってきたり、ときにはホテルに宿泊して治療を受けたり、そして家でも温灸したり、子供だったら、家族がローラー鍼をやってあげたり、お家でできるセルフケアを、それはそれは熱心にされていたのよ。」「そういう家族の力もあり、奇跡は起こるのねー」と話されていたのも、とても印象に残っています。

 最後の最後まで治療の様子を見せて頂いた、小脳変性症という難病の患者さんも、治療の度に、表情が明るくなり、介助なしにはほとんど歩けなかったのが、仙骨のお灸をした日から、ベッドの周りを歩けるようになり、目の焦点も合うようになり、言葉も出やすくなって、奥様の表情も日に日に明るくなるのが、とても印象的でした。

 そして、奥様が、「普通は病院では、この病気は症状が進行するばかりで、よくなることはないと言われていて、うちの主人みたいに、こんなふうに症状が良くなっていくなんて、そんなことは絶対ないことなんです。だから、本当に良かったと」仰っていたのも、とても心に残っています。

 短い期間でしたが、陰陽太極鍼のすごさと、吉川先生やスタッフの皆さんと患者さんとの長年にわたる信頼関係の積み重ねのすごさを目の当たりに見せていただくことができて、いろんな意味でとても勉強になりました。(2017年)