TAC-TRAINEE-Voice

東方鍼灸院研修生の感想文

VOICE 57/鍼灸師・鍼灸学校講師(東京都・男性)

 三日間という短い間でしたが、一生の宝物をいただいた気分でいます。私自身、東洋医学理論の大切さは理解しているつもりでいましたが、吉川先生の様々な治療理論を縦横無尽に使いこなす姿を見て、自分の東洋医学への愛がい かに小さいものであったかを思い知りました。

 吉川先生は、治療することによって起こる様々な現象を真摯に受け止め、それに驚き、患者さんと共に身体の変化 を心から喜んでいました。その素直な姿勢が、日々の新たな治療法の発見に繋がっていくのだなと感じました。

 私は、この業界に入ってまだ十年にも満たないですが、いつも感じていることは、ほとんどの鍼灸師が、身体に起こっている現象を見ず、古典や文献に書かれ ている治療法、他流派の治療法を疑い、批判し、自分の中に取り入れようとしないということです。その点、吉川先生は様々な理論を受け入れ、実践し、本当に 効果のあるものを蓄積し、それを自由自在に使いこなすレベルにまで達することができるからこそ、多くの患者さんの苦しみをやわらげることができるのです ね。

 私が先生の治療を見せて頂いて、一番感じたのは、患者さんの痛みや苦しみを取るために最大限に努力するということです。私は今まで何人かを並べて治療す ることに抵抗がありました。しかし、先生の治療を見て、一人一人の主訴を大切にし、それを取ることに真剣に取り組み、患者さんから高い満足度を得ているの を見ることができました。

 治療効果をその場で確認し、患者さんと一緒に「前に進んでいる」という実感を持ってもらいつつ、さらに必要に応じて温灸でじっく りと温める方法をされていました。それにより、患者さんがとても満足して帰られているのを見て、同時進行で治療することへの考え方が大きく変わりました。

 東洋医学の様々な理論を使い、さらに先生が提唱される陰陽太極鍼を使うことで、これだけ満足度の高い治療ができるのだということを知り、自分が今まで経絡 治療という狭い視点でしか患者さんを見ていなかったことを知りました。

 この三日間を通じて、東洋医学のすばらしさ、そして身体の変化や世界の動きを大きな視点で説明できる東洋医学の懐の深さを知ることができ、とても感動しました先生方が温かく迎えて下さったことで久しぶりにゆっくりと楽しんで勉強することができました。東京に戻って、また現実の忙しい毎日に戻ってしまいましたが、自分が目指したい目標ができて、日々の生活にもやる気が出てきました。

 先生は日々進化されています。私も負けないように頑張って勉強し、いつかは先生に採用してもらえる治療法が見つけられたらなと思っています。(2013年)