TAC-TRAINEE-Voice

東方鍼灸院研修生の感想文

VOICE 45/学生(北海道・男性)

 鍼灸師を目指したその時から刺さない鍼は理想で、そこにこそ東洋医学の真髄があると直感していました。現代科学は目に見える原因と結果しか評価しなく、鍼灸といえどもプラシーボ効果とされる事も多々あります。しかし鍼灸は数千年もの間、事実として効果を発揮しています。

 ここに大きな矛盾が生まれ、さらに人間の大きな錯覚は「科学の進んでいない過去の人間は劣っているという感覚」これが過ちを深めています。生物学的に知的レベルには変化は無く、むしろ東洋医学を生み出した先人達には、今の人間には失われてしまった超感覚と医術を知っていたのだと確信します。

 今回刺さない鍼の「陰陽太極鍼」を拝見させて頂き、西洋医学の土俵で東洋医学を語ることがどれだけ意味の無い事かを教えられました。

 目の当たりにした治療は驚きの連続です。一本の鍼が身体に影響する。これを本当の意味で理解する事がどれほど難しい事か。まさに量子力学の世界を目の前で体験したかのような驚きで、それは自分の中に新しい理論が刻まれたようなもので、すぐに頭で理解できる事ではありません。鍼が世界に広まった理由、そして何千年もの歴史に淘汰されない理由を実感できた気がしました。

 O-ringテストや入江FTなど優れた診断法はありますが、「陰陽太極鍼」は単純かつ適確で実用性と応用力を兼ね備えた方法だと思います。事実、鍼灸学校1年生の自分でも十分に効果を発揮させる事ができました。これからどのような臨床家になるのかを決めていく重要な時期に「本物」と出会えた事は本当に大切な財産です。(2012年)