TAC-TRAINEE-Voice

東方鍼灸院研修生の感想文

VOICE 33/鍼灸師(北海道・男性)

 吉川先生の常にブラッシュアップし続ける技術を目の当たりにし、いまだ興奮が冷めやらぬ状態です。もちろん先生の技術は革新的で素晴らしいのですが、何よりも私のようなまだまだ未熟な鍼灸師を快く招き入れてくれて、惜しげもなく技術指導をしてくれた、その器の大きさにただただ感謝しております。

 私も数年前の研究会に参加していたので、陰陽太極鍼法や子午流注を使った治療法は知ってはいましたが、今回あらためて実感したことは、まず基礎が大事であるということ。五行、表裏、子午、取穴、流注、など、ついつい毎日の施術では曖昧にしてしまった部分を、きちんと当たり前の知識にしておく、しっかりと頭に叩き込んでおくということを強く実感しました。

 そして先生の更に進化した治療技術にも驚きました。側頭部痛は耳肝陽の刺絡、膀胱経二行線の有効性(陽綱や意舎など)を利用した圧痛の取り方、耳穴へ王不留行の種子を貼るだけで全体を調整する、開穴に鍼の代りに(!?)王不留行の種子を貼るだけで効果を挙げる、胃兪と小野寺臀部点と足底部の圧痛の取り方など、臨床ですぐに生かせる技術をたくさん教えていただきました。

 印象的だったのは、診療時間最後に来院された患者さんを施術する際に、先生が取る穴全てピタリピタリとあたり、瞬時に症状を回復させていく様は迫力満点でした。私に任せなさい!という先生の迫力と回転の速さに、私も興奮したのを覚えております。

 また、お昼休みの時間を使って実際に先生をモデルにしての技術指導も勉強になりました。腹診の力加減、脈診の取り方、全身の触診のヒントなど、手を取って教えてくださり大変有り難かったです。

 今までの研究発表や雑誌記事、DVDを拝見しても、ご自分が身につけた技術を、ただ我がものにするのではなく、患者さんや広く鍼灸業界の発展のために、提供しようという心意気に頭が下がりました。

 久しぶりにお世話になった東方鍼灸院での研修は、確か8年前私が学生の時、東方鍼灸院を初めて訊ねたときに似て、とても新鮮でした。また自分のいまの技術力の甘さを痛感した、そしていま私が身につけるべきことが何かをはっきりと認識できた良い機会でした。今回のこの新鮮な気持ちを忘れずに、毎日の施術においても、患者さんと真剣に向かい合いたいと思っております。(2012年)